豊かさとは
(2025年3月3日 09:00) カテゴリー:所長通信一般的に豊かさを示す指標としてGDP(一人当たりの国内総生産)が用いられます
しかし GDPを豊かさの指標や政策目標とすsることには懸念や批判もあります
その理由は
GDPは政策の豊かさにつながる重要な要素である 健康、教育、労働環境、自然環境 余暇 治安 人権の保障などを
考慮に入れていないというものであり
無償で提供される家事・育児・介護・豊かな人的交流など 日常を支える活動も無視されている というものであります
他にも色々な解説が見られますが 「豊かさの指標」にするにはどのような要素が必要なのかと考えるとき
昔からの色々なアプローチを待つまでもなく 非常に難しいものだという事はわかります
1970年代になって アメリカの経済学者ノードハウス氏とトービン氏の経済厚生指標に関する報告書で
経済成長とカラらの指標のトレンドが同じであることが報告されてより
経済成長を社会の豊かさと解釈する風潮が再強化されました
これによって 経済成長(平均所得の増加)に対する過度な関心が生まれ
経済の基礎統計が経済成長を計算するための資料となったことによる統計数値の改ざんが生じたとのことです
経済成長が国家目標となったことで 粉飾が横行するようになったと言われています
経済成長が豊かさを図る指標として認められ重要視されている現実は認めますし 重要な指標であることはわかりますが
グローバルな視点で見たとき 開発途上国なら経済成長による国民の生活水準の上昇はわかりますが
成長した国においてはそれでも経済成長が豊かさの指標となるのかは疑問が残るという気がします
経済成長が国家目標となったことによる粉飾の横行はともかく
成熟している国や地域においては さらなる成長と豊かさは正比例するのか
経済成長と豊かさや幸福度は正比例しているのかと直感的に疑問に感じることがあります
例えば貧富の差やその格差の増大などは経済成長という指標には現れないのでは などと思います
第一 量的な豊かさが幸福度に比例するのは発展途上にある社会ではないかという根本的な疑問が消えません
国際的な比較をする場合はともかく
同じ国や地域での豊かさや国民の幸福度などについては経済成長以外の指標があってもよいように思います
それがないと 経済成長を国家目標にする弊害が生活につながると不安になります