日本での格差
(2023年11月20日 09:00) カテゴリー:所長通信日本では大きな格差もなく 色々なグループ間の対立もなく 平和なのんびりした国であるように
なんとなく思っていました
しかし コロナを原因とする不景気などの影響によって 格差がみえてきたと感じています
例えば 「正規雇用」に就けるグループと就けないグループ間の格差があります
この格差をもう少し具体的にいうと
多国籍企業や大都市にある大企業の正規雇用者が日本では一番上の階層にあたり
その次は国内産業や地域企業の正規雇用者で
非正規雇用は先進国経済の水準と比べ大きく離されています
非正規雇用にしか従事できない母子家庭では満足に子供に3食食べさせられないといった現状が
ニュースなどで取り上げられ 胸が痛んだ経験は誰にもあると思います
この階層には非常に強い硬直性があると指摘されています
つまり階層上昇が難しいということです
まず学歴による選別があり(就職活動でエントリーシートを受け取ってもらえないなど)
その上30歳代になるとその入り口も閉じられてしまうのです
「一度も正規雇用の経験がない」人材には 正規雇用の門戸は開かれないとさえ言われています
その理由としては
35歳くらいまで非正規の現場で苦労した人は 本当の意味で自立した個人になっているので
職種と責任範囲が曖昧な中で出世などをエサに社内政治レースに巻き込むなどということができないので
スキル不足などと言って門戸がとじられるという分析もあります
また 階層の世襲ということも挙げられます
世間に評価される大学教育を受けるためには よい高校教育を受けていることが必要で
その高校に入学するためには 正規の中学のカリキュラムだけでは教えてもらえないスキルも求められます
都市部ではそもそも中学で一流と言われる学校にいけないと そのレールに乗れないと言われています
この様な大学入試や中学入試は日本のエリート階級に入るための科挙であるとまで言われますが
本来の科挙と違うのは これが貴族(裕福なエリート階層の人たち)の世襲と保守化の温床となっているところです
そう考えると 現代日本の格差というのは 相当タチの悪い格差であると考えられます
私たちのような国家資格で仕事をしていると ついつい学歴でなく本人の努力で道は開くという感覚があるのですが
すなわち学校がどこであっても 試験に受かればよい と思ってしまっているのですが
その試験を受験し続けるためには 受験勉強に専念する期間の生活が保障されている
すなわち 働かなくても受験勉強ができる環境が求められています
そのような社会に出る前の格差が 給料の格差につながり
食事事情や持ち家や所有する車のグレードにまでつながってくるということになります
これが「倍とか3倍」などという差ではなく「1桁あるいは2桁」の格差というまでになってきていると指摘されています
私たちが学生であったころ あるいは就職活動をしているころ
「一億総中流」などと言われてその気になり なんとは無しに将来は明るいと感じていられたころ と比べると
まったく「別の国」であるようです
その理由を挙げるときりがないのでしょうが
生産拠点を海外に移したが 残ったのは移転できない低付加価値の部品産業だけだった とか
世界に先行していたのに 資金不足で反童貞産業が競争力をうしなった とか
人材や優秀な企業の拠点が徐々に海外に移転している とか が指摘されています
その上現在では
円高 とか 経済連携協定の遅れ とか 法人税が高い とか
労働市場の硬直性とか 電力不足や高コスト化 とかもその理由としてあげられています
また 知り合いの子弟が留学から帰国して 「おばちゃん 日本の留学生は外国に比べて少ないし元気ないよ」
と言っていましたが ギャップイヤーの話だけでなく
飛び級もエリート教育もほんの一握りの特別な私学だけしかできないような(基本的には日本の教育ではできない)
日本の硬直した公教育に大きな原因があると 背中に悪寒が走ります
それだけ改革しても根本的な改善など望めませんが
せめて英語教育だけでも・・と少しの前進でもなんとかならないかと思わざるも得ません