失敗の本質
(2020年12月14日 09:00) カテゴリー:所長通信「失敗の本質」とは
昭和の終わりころに 大日本帝国は 太平洋戦争でいかにして敗北したか について
敗因について分析・解説している本です
日本人的な気質・組織性に要因があったとされ
それ以後の原発事故や東日本大震災後のトラブルなどにも 同じ要因があるのではと言われ
今も注目を浴びています
現在コロナ禍後の日本のありようを考えるにあたって
色々なところで色々な人が 今までの成功体験を捨て新たなチャレンジが求められている
と述べておられます
では今までの「何」が問題でそれをどのように乗り越えて新しい組織やありようを創造すればよいのか
そのように考えたとき またこの「失敗の本質」を顧みようという気になりました
「失敗の本質」では敗因について以下のように述べられています
①「戦術」で勝って「戦略」で負ける
すなわち戦いの目的が不明瞭なまま 個々の経験を集めて問題を普遍化するという帰納的なやり方で戦略を策定して戦ったから
全体を統合しエラー&トライで改善して力を結集させるような学習がなされていなかったし
海軍と陸軍がバラバラで不測の事態が発生した時 それに瞬時に有効かつ適切に反応できなかった
今の日本でも個々の経験を科学的に分析することなく「やればできる」のような精神論で乗り越えようという姿はよくみられるように思います
②現実を自分たちに都合よく解釈し 戦果を誇大認識する すなわちすべての人々を同じ方向へ向かわせ異なるものは刑罰を与えたり排除した ということが見られます
「異端や偶然」は自分たちの方向性を見直すためのもので
これを徹底的に排除してしまったために
盲目的に組織が目指す目的を疑わすに行動してしまっていました
これは 組織の方向性の修正ができなかっただけでなく
新しい考えも生まれないすなわちイノベーションも起きないといった問題も生み出しました
③リスクや脆弱性から目を背ける
自己革新のためには自己否定が必要ですが
過去の成功体験にのみとらわれて「弱み」から目を背けていては
強く改革していけるわけはない ということになります
④現場の優れた人物を左遷し肩書が上の人間の責任を追及しなかったから
組織の中で合理的な議論が通用せず
状況をを有利に打開するための豊富な選択肢を持てなかった
これでは報告をうけてブラッシュアップすることなどできないだけでなく
いわゆる「空気を読む」ことが普通になってしまいます
⑤戦闘の第2ラウンド第3ラウンドの想定をしないので
臨機応変などありえないし 阿吽の呼吸で協同するとくことも起こりえません
⑥情報の徹底的な軽視が生む非現実的な楽観主義で
ただただ 帝国陸軍の誇る白刃のもとに全軍攻撃を敢行する戦術の墨守しかなされなかった
若干自分勝手なまとめ方になってしまっていますが
これを見ると 当時の状況がわかるだけでなく
今も身近なところでの「あるある」がたくさんあることに気付きます
だから日本は・・などと昔の話にせず
今の自分たちにもその遺伝子は色濃く残っていることを意識して
現実がこのような事態だからこそ 真に脱皮しなければならない
ということを自分自身の問題として肝に銘じなければならないと思っています