SNSの光と影
(2025年3月10日 09:00) カテゴリー:所長通信「SNSの光と影」と題して 日本経済新聞のOPINION や やしい経済学などの欄に記事が掲載されていました
SNSが日常生活や世論形成に多大な影響を及ぼすようになっている今の社会において
若者や社会的弱者の発信、地域や年齢や性別を超えた連帯などで世の中をよくする力となってきている反面
極端な主張や偽情報の拡散といった「影」の部分も目に付くようになってきています
最近の都知事選挙や兵庫県の知事選で見られたように 選挙違反の指摘をされることも多くなってはいるもののSNSは選挙において存在感を増してきています
実際の投票行動に大きな影響をあたえるようになったことは否定できず 今後の選挙においてますますSNSの利用は活発になるでしょう
これは一例ではあるものの SNSは情報量の増加という恩恵を社会にもたらし
これまで日の目を見なかった情報が流通し 有名人でなくても意見を述べられ共感を広げられるようになっています
これら年齢や地域や男女差などによって弱者とされてきた人々に力を与え 社会に進出する機会を与え 民主主義の可能性を拡大する力にもなっているという意味においては
SNSの「光」の側面と言えるでしょう
かたや フェイクニュースの増加や ネットによって簡単に引き込まれる「闇バイト」の増加や ネットカジノの広がりなどは深刻な「影」の問題となります
また ネット上での誹謗中傷や意図的な虚偽情報の拡散は看過できないところまで来ており それによって自らの命を絶つ人も出てきていることは「影」の側面などと言っている状況を超えています
兵庫県知事選の開票後のニュースでインタビューを受けている人が「ネットで色々な意見を見て投票しました。だから直感や雰囲気に流されたのではありません」と答えている場面を見て
このネット上での色々な意見というものが プラットフォームの投票採用における表示順序を決めるアルゴリズムによる情報のかたよりがある可能性をどれだけ排除あるいは調整しての上での意見形成であったか
などという事をクリアしたうえでの「セリフ」だったらよいのだけれど・・・と」思ったのは私だけではなかったのではないかとも思いました
私たちは 今まで公平とされる(?)新聞記事などを見るのと同じ感覚でネット記事をみている可能性はないかと思うと
無意識にネット情報にとらわれ 公平性を損なっていることに気付かなかったのではないと言い切れる自信は到底ありません
外国で子供のネット利用を制限したり 法律や条例で何かを禁止したというニュースもよくみるところになっています
しかし そのようなことで この「影」の部分を抑え込むことは不可能であると言わざるを得ないと思っています
そもそもネットを通じての情報発信は 社会的弱者に力を与え 交流を通じて関係性を深めることができると捉えられていたものだったと思いますが
今となってはより刺激的な記事を掲載することによってお金を稼ぐ手段となってしまい
全部ではないにしろ 情報の提供というより 娯楽や刺激を提供するものになってしまっています
そしてそれを情報に対する抵抗力のない小学生などが面白がって見 回数が重なるにつれ 健全に育つべき常識がゆがめられてしまっているように思います
その上スマホを通じてのSNSやゲームで犯罪に引き込まれたり 誘拐される(小)中高生が急増しているという現状は
これも娯楽の一つなどと楽観視できない悪影響があると認識しなければなりません
これらはイタチごっこでしょうし もし完全に抑え込むようなことができたとしたら 独裁的な指導者に支配される世の中になってしまっているなど
より悪い社会になっている可能性も大いにあると思えば 一面的な側面だけ見て戦うのでなく
人間性を取り戻すといった形により 本当の人間としての知恵が育つような学習や教育が(大人を含めて)より大切になっている
と肝に銘じなければならないと思います