組織の体質
(2023年12月18日 09:00) カテゴリー:所長通信2023年も年末がみえてきたころ
多くのファンを持つ宝塚歌劇団と プロ野球の楽天イーグルズでの「ハラスメント」問題が
メディアを賑わし 厳しい社会的批判にさらされています
またそれに追い打ちをかけるような日大アメフト問題も多くの人の関心を集め批判の的になっています
それぞれの問題が起こった集団の特徴も違い その問題の質も違いますが
共通して 彼らだけでない日本の社会が持っている問題をはらんでいると言えそうに思っています
宝塚問題では厳しい「先輩後輩カルチャー」そのものが批判の対象になっていますし
楽天イーグルズでは「行き過ぎたパワハラ」が注視されています
日大アメフト部の問題も 組織の中だけでうやむやにもみ消そうとした「ムラ社会」体質が指摘されています
確かに それぞれは一般人からみて行き過ぎと見えますが(確かに行き過ぎですが)
特別ないじめやハラスメントや組織体質とだけ見て 個別に解決さえすれば問題は解決するとするならば
また他のところ 他の人で同様の事件は起こることになり 真の解決にはならないのではないかと思います
なのでそれらに共通する本質を見極める必要があると言わざるを得ません
これらの事件に共通する本質は 日本の組織が持っている「先輩後輩」という文化であり
年齢や経験年数や前職までの社会的な地位などという単純な客観的基準で上下関係が決定され
その上位の人には その(今の)組織に必要なスキルがあるかどうかに関係なく
自動的に権力が与えられる という社会慣行が未だ温存されている というところにあるのではないでしょうか
要するに その集団を管理したりリードしたりできるだけの知識もスキルもなく
リーダーとなるための訓練もなされていない人が年齢が上とか運動能力がまさっているとか
前職が社会的に認められた職業だったとか 現在の仕事に関係のないことで
自動的に(疑いや検証もせずに)絶大な権力があたえられていた
そして誰もそれをおかしいとも思わなかった
ということが根本的原因ではないかと思うのです
そのようではミスリードが起こるのも当たり前 事件が起こってもおかしくないというリスクがあるのにそれを見極められず 放置して
それらがあたかもその組織の伝統であるかのような錯覚をしたり
「どこにでもあること」と思い込んでガマンすることが当たり前となっていたり
自分の問題とは考えなかったり 上の人が解決してくれるだろうという無責任な思い込みであったり が
誰も仕方ない そんなもんだろうと異常とも思わず普通にあったということではないでしょうか
そのように考えるとこれらは今回事件となって取り上げられ 社会的な批判の対象になっている組織にだけあった問題ではなく
多かれ少なかれ 大なり小なり私たち社会が持っているみんなの問題と思えます
リーダを育てる教育訓練の必要ですし
良い状態の組織とはどのような状態を言うのか といったことももっともっと考えないといけないし
それだけではなく
現在の複雑かつ激しいスピードで変化している人間社会では
過去の経験者が未経験者の上にたって
あるいは 何か一分野や一つのことの成功体験の持ち主が
自分の経験則を無反省におしつけても よい結果は得られないし 教育訓練にもならないということを自覚しなければなりません
特殊な組織の中の出来事と興味本位にみるのではなく
自分も(潜在的にかもしれませんが)もっているものが その底に流れているとまず自覚するところからはじめないと
と毎日流れるニュースを見ながら思っています